2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

鼻フック町

僕らの町ではみんなが鼻フックをしている。誰が決めたのか、何かの罰なのか、それはわからない、けれど、この町ではみんなが鼻フックをしている。僕は高校生で、いまは昼休みなので彼女と校舎裏の旧用務員室で睦みあっている。僕らの町では、鼻フックをお互…

うずうず

吹き抜ける夏の風は過去に感じたようなそれではなく単なる風であった。きっと気候の変化だろう。わたしは何も変わっていない。そう思って携帯電話を取り出し、男の名前をランダムに選んだ。食事をしませんか、と誘うと、おう珍しいな、と、二つ返事だった。…

「ハクション」

「ハクション」 雨が降っていた。僕は彼女に旅の土産を渡そうと、帳が降りた後雨が降りしきる中、傘もささずインターフォンを鳴らした。僕は彼女にいろんなものを突然贈りに行ったが、ほんとうに渡したいものは目の前の唐突に誘惑されて、知らないうちに雨で…